血糖値を下げる



 まあ全員を知ってるわけじゃないけど、あの糖尿病性網膜症開発陣の雰囲
気じゃないって事だ。ノリの効いたスーツに、艶めかしいおみ足が
伸びてて、だけどどこか無邪気さを感じる様な顔に、眼鏡で知的さ
アップを図ってるようなキャリアウーマンな感じなんだけど
無理してない?って思う何かを放ってるよ。

 まあようやくすると、美人のお姉さんに変わりは無いんだけど。
その美人のお姉さんは、肩から卸してるバックの他に、片手には花
束を持ってる。黄色い花だ。何だか見たことがあるような視線
を自然と閉まりゆくドアの向こうに向けると、病室の中に同じ花が
花瓶に生けられてるのが見えた。
 ああそうか、見たことあるわけだ。それなら納得。この病室には
毎回あの花が生けられてたんだ。看護士さんたちが変えてると思っ
てたけど、そうじゃなかったって事か。


貴女は

 ようやく出てきた言葉がぶつかった。おいおい、気まずさが倍増
じゃないか。だけどここで気まずさに負けるわけにはいかない。

あのどうぞ

 必死に声を絞りだして、糖尿病は会話を促した。すると美人のお姉さ
んは、一瞬何かを考える様に視線を逃がして、意外な事を口に出す。

君ってのどの渇き君だよね?
はいって、ええ? 何で?

 いつから糖尿病は、初対面の美人のお姉さんに名前を知られる程の有
名人に成ったんだ? 思わず肯定したけどさ、マジびっくり。
 するとお姉さんはいきなり糖尿病の方へ駆けて来て。手を握られた。
その行為に糖尿病は傷口が開くかと思ったよ。そしてその勢いのまま、
美人のお姉さんはこう言った。









最終更新 2011/05/28 11:46:59 - adradr1
(2011/05/28 11:46:59 作成)