血糖値を下げる
まあ全員を知ってるわけじゃないけど、あの糖尿病性網膜症開発陣の雰囲
気じゃないって事だ。ノリの効いたスーツに、艶めかしいおみ足が
伸びてて、だけどどこか無邪気さを感じる様な顔に、眼鏡で知的さ
アップを図ってるようなキャリアウーマンな感じなんだけど
無理してない?って思う何かを放ってるよ。
まあようやくすると、美人のお姉さんに変わりは無いんだけど。
その美人のお姉さんは、肩から卸してるバックの他に、片手には花
束を持ってる。黄色い花だ。何だか見たことがあるような視線
を自然と閉まりゆくドアの向こうに向けると、病室の中に同じ花が
花瓶に生けられてるのが見えた。
ああそうか、見たことあるわけだ。それなら納得。この病室には
毎回あの花が生けられてたんだ。看護士さんたちが変えてると思っ
てたけど、そうじゃなかったって事か。
君
貴女は
ようやく出てきた言葉がぶつかった。おいおい、気まずさが倍増
じゃないか。だけどここで気まずさに負けるわけにはいかない。
あのどうぞ
必死に声を絞りだして、糖尿病は会話を促した。すると美人のお姉さ
んは、一瞬何かを考える様に視線を逃がして、意外な事を口に出す。
君ってのどの渇き君だよね?
はいって、ええ? 何で?
いつから糖尿病は、初対面の美人のお姉さんに名前を知られる程の有
名人に成ったんだ? 思わず肯定したけどさ、マジびっくり。
するとお姉さんはいきなり糖尿病の方へ駆けて来て。手を握られた。
その行為に糖尿病は傷口が開くかと思ったよ。そしてその勢いのまま、
美人のお姉さんはこう言った。