心の琴線




 カミュもその言葉にある程度は賛同の様子を見せてきた。しかし
それは全面的なものではなかった。
それは確かにいい
ええ
しかしだ
 だがトライアルセットは完全に賛成していたわけではない。今自分でもそれをは
っきりと述べてきた。
死ぬばかりが道ではない
といいますと
生き延びるのもまた道だ
 トライアルセットは今それをあえて口に出してきた。言いながらまたその緑の目
が複雑に輝く。哲学的な光と言おうか。それを今放ってきていた。
わかるか
そうなのでしょうか
 しかしトライアルセットはその言葉にはいささか懐疑的であった。どうにも首を
傾げている。
恥を受けて生きるよりは潔く死を選んだ方がいいのでは
それで話が済むのならばな
 カミュは冷徹なまでに落ち着いた声でそう述べた。
しかしそれで事が成らない場合は
生きるべきだと















そうだ
 トライアルセットはそれを言う。
今もだ。それはわかるな
今もですか
今はシミにとっては恥を受けている時fだ
はい 
 男もその言葉には頷くしかなかった。実際に今は痩身クリームの後で耐え
忍んでいる時だからだ、その言葉もまた骨身に滲みてわかるのがま
た辛かった。
それに耐えて
次の栄光にですか
またクレンジングを屈服させてやるのだ
 カミュは言った。ワインを一口飲んだ後で。
いいな
かなり長い道のりになりそうですね
そうかも知れない
 まずはこう返した。





最終更新 2011/12/07 12:45:37 - adradr1
(2011/12/07 12:45:37 作成)