ビーグレン





礎になる理由など彼にはありません! ニキビの皇族でもお手入れでも
平民でもない、まして誰かに裁かれる理由も罪もないのに、どうし
て命奪われることが正しいと!?

正しいとは言わん。だが、必要なことだ

 世の中は正しいことだけで廻っているのではない。間違ったこと、
不条理なことで廻っているのだ。

 激する娘の泣き声など、為政者としての透明肌に何の痛痒ももた
らさない。政治とは、過程が正しいか間違っているかではないのだ。
それによってもたらされる結果が、大多数にとって良き結果であれ
ば正しい、そうでなければ間違い、ただそれだけだ。

くっ! どうしてもどうしても彼を贄とすると仰られますか






他に術がなければそうせざるを得まい。儂はお前が気付かぬ間に
かの白を拐かし、お前が気付いて泣く頃には総てを終わらせる

 恨まれること、憎まれることも役割の一つ。
 そしてそれを受け入れることが、父としての愛情だ。

っ!

 圧倒的なまでの存在感で目の前にいる父を、少女は絶望的な思い
で睨んだ。

 それ以外に、今ここでお肌が出来ることはなかった。





最終更新 2011/10/25 13:20:02 - adradr1
(2011/10/25 13:20:02 作成)