日本の外交は国民に何を隠しているのか
『日本の外交は国民に何を隠しているのか』河辺一郎・集英社新書
ストレートなタイトル。
話は、国連への日本の関わり方から入る。
少し前に、日本の常任理事国入りへの各国の反応が取り沙汰された。その時、「日本はアメリカに次ぐ分担金を負担している。それをきちんと支払い貢献しているのに、常任理事国に加われないのはおかしい。」という話が繰り返しなされ、私以外にも多くの人たちが、それを事実として認識していたのではないか、と思う。
ところが、のっけから「これは事実ではない。日本はアメリカと共に常に分担金の支払いを大きく遅延している。これは、日本の国連への関わり方を研究するものにとっては常識」というのである。
しかも、アメリカが分担金の支払いを遅延している事は、国民の周知の事実であるが、日本ではそのような事実は話題にも上らない。
常任理事国に入っていないから発言権がない、という事も全くウソで。それでは、何故、常任理事国入りを目指すのか、と話は続く。
イラク戦争支持と、北朝鮮の脅威に対するアメリカの支援要請という理屈の裏話。
主要新聞等メディアの迷走。
あまり強い事も言わず、多額の支援金を払い続けている日本という、お人好しで、いささか間抜けな日本の外交のイメージの本当のところは何なのか。
御都合主義の外交の失敗の連続、しかし、国民にその政策を評価する事が出来るのか。日本の中での議論は他では通用しない。そもそも積極的な政治参加の基盤がこの国にはないのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
極論だと、言われるかもしれない。だが、一方で、こういった日本があるからこそ、こういった追跡がなされる。
国が国民を守ってくれる。そんな国家に程近い位置に日本はあるのだろうか。
少なくとも、政治への関心、という緊張感は維持しようと思う。
ところで、国連の財政規模はいかほどかご存知?
なんと1年で1800億弱。これは、東京都23区5位、6位の江戸川区や板橋区程度なのである。(少ない!驚いた。自分の無知さにも。)