mpage_writepages()
1. 概要
WriteBack処理の中で呼び出されるmpage_writepages()のメモ。呼出元のWriteBack処理については「WriteBack処理」参照。
mpage_writepages()はページキャッシュからDirtyPageを取り出し、Write I/Oを開始する。
2. 処理の流れ
2.1 mpage_writepages()
mpage_writepages()はmappingで渡されたページキャッシュからDirtyページを取り出し、Write I/Oを発行していく。mpage_writepags()のプロトタイプは以下のとおり。
struct writeback_control *wbc, get_block_t get_block)
mapping: WriteBack対象のページキャッシュ(mapping)
wbc: WriteBack処理管理情報
get_block: get_blockハンドラ
処理の流れは以下のとおり。
: while (!done && (index <= end) && (nr_pages = pagevec_lookup_tag(&pvec, mapping, &index, PAGECACHE_TAG_DIRTY, min(end - index, (pgoff_t)PAGEVEC_SIZE-1) + 1))) { /* * ページキャッシュ(mapping)からDirtyページを少しずつ取得して処理していく */ /* 取得したDirtyPageを順番にWriteBackしていく */ for (i = 0; i < nr_pages; i++) { : if (writepage) { /* generic_writepages()マクロ経由で呼び出された場合 *(writepagesハンドラが未定義のファイルシステムの場合) * * ファイルシステムのwritepageハンドラを呼び出して * Write I/O発行 */ ret = (*writepage)(page, wbc); } else { /* 連続ブロックをbioに格納。非連続ブロックなら内部でI/O発行 */ bio = __mpage_writepage(bio, page, get_block, &last_block_in_bio, &ret, wbc, page->mapping->a_ops->writepage); } : } } /* __mpage_writepage()で作成した連続ブロックのI/Oを発行 */ if (bio) mpage_bio_submit(WRITE, bio)
mpage_writepages()はpagevec_lookup_tag()でページキャッシュ(mapping)からDirtyページを取得して、1ページずつ処理していく。
各ページの処理にはファイルシステムのwritepageハンドラ(mapping->a_ops->writepage)が呼び出される場合と、__mpage_writepage()が呼び出される場合がある。通常は、__mpage_writepage()が使用されるが、get_block引数がNULLで呼び出されていた場合(*1)はwritepageハンドラが呼び出されて、DirtyページのWrite I/Oが発行される。
__mpage_writepage()はWrite I/O用のbio(*2)を作成する。__mpage_writepage()は対象Dirtyページが図1のようにディスク上で連続ブロックになっていた場合は、これらのブロックに対するI/Oをbioに格納して返す。作成したbioは__mpage_writepage()の次回呼出し時にも引数として渡され、連続ブロックであれば次々とbioにWrite I/Oマージされていくことになる。作成されたbioは__mpage_writepage()の最後でまとめてI/O発行(mpage_bio_submit())される。このようにWriteBack対象のディスクブロックが連続していた場合はI/O処理が効率化される。
一方、図2のようにディスクブロックが非連続になっている場合や、ページ内にDirtyでないBufferが見つかった場合は、I/Oをbioに返すのではなく__mpage_writepage()内でWrite I/Oを発行する(*3)。この場合、bioに連続ブロックI/Oが格納されていれば、bioのI/Oも発行する。
図2 非連続ブロックのケース
(*1) get_block引数がNULLで呼び出されるのは、__mpage_writepage()がgeneric_writepages()マクロ経由で呼び出される時で、これはwritepagesハンドラが未定義のファイルシステムにおけるWriteBack処理の場合となる。(「WriteBack処理」参照)
(*2)「ブロックI/O」参照
(*3) I/Oの発行にはファイルシステムのwritepageハンドラ(page->mapping->a_ops->writepage)が使用される。
2.2 __mpage_writepage
__mpage_writepage()は指定ページがディスク上で連続ブロックになっているかをチェックし、連続していた場合は、bioにI/O情報を格納して返す。返したbioはmpage_writepages()から繰り返し呼び出される際に、引数として再度渡されるようになっており、そこにI/Oをマージしてbioを返していくことで、連続ブロックのI/Oがひとまとまりになるようにする。
非連続ブロックを見つけた場合は、既に保持しているbioの連続ブロックI/Oを発行した後、非連続だったページのブロックI/Oを発行する(confuse:で処理)。
if (page_has_buffers(page)) { /* pageにBufferが既にある場合 */ /* 全Bufferをなめて、pageのディスクブロックが * 連続しているかチェックする * 非連続だった場合はconfuseに飛ばしてI/O発行 */ do { : if (!buffer_dirty(bh) || !buffer_uptodate(bh)) goto confused; /* Blockの連続チェック */ if (page_block) { if (bh->b_blocknr != blocks[page_block-1] + 1) goto confused; } : } while ((bh = bh->b_this_page) != head); /* ページのバッファが全てMapされていて、連続ブロックだった場合 */ if (first_unmapped) goto page_is_mapped; goto confused; } /* * Bufferがない場合はこちら */ for (page_block = 0; page_block < blocks_per_page; ) { /* get_block()でBufferの割り当て(マップ) */ : if (page_block) { /* block番号が非連続ならconfuseへ */ if (map_bh.b_blocknr != blocks[page_block-1] + 1) goto confused; } : } page_is_mapped: /* ページが連続ブロックにマップされている場合の処理 */ if (page->index >= end_index) { /* pageがファイルの最後のページならはみでている部分を0クリア */ } if (bio && *last_block_in_bio != blocks[0] - 1) bio = mpage_bio_submit(WRITE, bio); alloc_new: if (bio == NULL) { /* 引数でbioが渡されていなければ割り当て */ bio = mpage_alloc(bdev, blocks[0] << (blkbits - 9), bio_get_nr_vecs(bdev), GFP_NOFS|__GFP_HIGH); if (bio == NULL) goto confused; } /* Unmap領域までをbioに追加 */ length = first_unmapped << blkbits; if (bio_add_page(bio, page, length, 0) < length) { bio = mpage_bio_submit(WRITE, bio); goto alloc_new; } if (page_has_buffers(page)) { /* Bufferをclear状態に */ } /* writebackフラグ設定(I/O完了時にクリアされる) */ set_page_writeback(page); /* BoundaryBuffer等であれば、ここでI/O発行 * そうでなければlast_block_in_bio更新 */ goto out; /* bioを呼出元に返す */ confused: /* * bioがあればmpage_bio_submit()でI/O発行した後、 * writepage_fn()(writepageハンドラ)で非連続 * ブロックだったページのI/Oを発行する。 */ out: return bio; /* 連続ブロックI/Oを格納したbioを返す */