Linux Kernel(2.6)の実装に関するメモ書き

割り込み処理


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ハードウェア割り込みに関するメモ。

割り込みのエントリポイント

irq_entries_start[]に各IRQの割り込み処理を呼び出すコードが格納されている。また、interrupt[]には各irq_entries_startへのアドレスが格納されており、例外ベクタにハンドラのアドレスを設定する際に利用する。

これらのテーブルはentry.Sに定義されている。

割り込みのエントリポイント
entry.S:inerrupt        entry.S::irq_entries_start
+------------+ +-----------------------+
| |--------->| pushl $vector-256 | vector = 0
+------------+ | jmp common_interrupt |
| |----+ | |
+------------+ | +-----------------------+
: +---->| | vector = 1
: | |
| |
+-----------------------+
:
:


例外ベクタの設定

割り込み発生時に上記の割り込みのエントリポイントへ処理を渡すため、例外ベクタ(IDT)を設定する。

i8259の場合、ハードウェア割り込みにはベクタ番号32〜を使用している(31まではプロセッサの予約領域)。

IDTの32番から順番にIRQ0〜15の例外ベクタをset_intr_gate()で設定している。(i8259.c::init_IRQ)

あわせてIRQを例外ベクタ32〜発生させるように割り込みコントローラを設定する。(i8259.c::init_8259A())

例外ベクタ
idt_table[256]
+-------------+
| #0 |
+-------------+
| |
+-------------+
| |
:
+-------------+
| #32 IRQ0 | --> interrupt[0] (* 割り込みのエントリポイント参照)
+-------------+
| #33 IRQ1 | --> interrupt[1]
+-------------+
| #34 IRQ2 | --> interrupt[2]
+-------------+
:

割り込みハンドラ呼び出しの流れ

1. 割り込み発生
割り込みコントローラによって例外ベクタ番号(32〜)が付加されて、CPUに通知される。

2. IDTの該当エントリに登録されているアドレスにジャンプ
例外ベクタ番号に対応するハンドラを呼び出す。
(irq_entries_start[IRQ#]にジャンプ)

3. 一旦common_interrupt:に飛んでdo_IRQ()へ
do_IRQではirq_enter()を呼んで、割り込みコンテキストにする。
あとはCPU非依存の__do_IRQ()へ。

4. irq_desc[]に登録されているハンドラへ
(request_irq()で登録される)

[関連関数]
request_irq()
割り込みハンドラを登録する。

irq_enter()
ハードウェア割り込みを処理中(割り込みコンテキスト中)であることを示す状態にする。

具体的にはcurrent_thread_info()->preempt_countのHARDIRQ_MASKの部分をインクリメントしている。

preempt_countのビットフィールド
PREEMPT_MASK: 0x000000ff
SOFTIRQ_MASK: 0x0000ff00 処理中のS/W割り込み数
HARDIRQ_MASK: 0x0fff0000 処理中のH/W割り込み数

in_interrupt()
現在のコンテキストが割り込みコンテキストかどうかを取得できる。これが、0であればプロセスコンテキスト。

preempt_countのHARDIRQ_MASK | SOFTIRQ_MASK部分を取得している。

類似ルーチンでin_irq(),in_softirq()がある。これらはそれぞれHARDIRQ_MASK,SOFTIRQ_MASKの部分をチェックして、H/W割り込み処理中か、S/W割り込み処理中かを取得する。



最終更新 2006/06/24 17:42:08 - kztomita
(2006/06/24 16:10:57 作成)
添付ファイル
irq_desc.png - kztomita


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